物語
1988年。どこにも行き場を失った札付の不良少年義家弘介が、雪の余市駅に降り立つ。親から家を出され、里親と暮らしていた彼は「全国から中退者を受け入れ始めた高校がある」と勧められやって来たのだ。彼にとって北星高校はまさに「最後の居場所」。だが、これまで他人への敵愾心剥き出しで生きてきた彼が新しい環境にすんなり順応できるはずもなく、編入早々、寮のワルたちと凄まじい衝突を引き起こす。「ここを出て行け。それが落とし前だ!」と宣告された義家は信じがたい落とし前をつける。自分の居場所を、まさしく死守したのだ。
クラス担任の安達俊子は「ガンバ!」が口癖のおっとりした熱血先生で、掃除当番をさぼったぐらいで何処までも追いかけて来る。そんな彼女にまるで異星人と出会ったように新鮮な驚きを感じる義家。その後、寮で大暴れし強制退寮処分になった義家たちワルグループは、生活指導の岸本の奔走で滝本夫妻の寮に入る。そこで義家は、生まれて初めての家庭の温もりを知る。風邪で寝込んだ彼を親身に介抱する滝本に「あんたら、何でそんなにやさしく出来るんだ。赤の他人なのに…」。あふれ出る熱い涙に、愛を知らなかった少年の心の氷が溶けて行く…。